
朝晩の気温が少しずつ下がって寒暖の差が出始めると、風邪のご相談が増え始めます。漢方を用いた風邪の治療は、からだに備わっている免疫力を回復させるのが一番の目的です。早めに対処できれば、こじらせずすっきりと治ることが特徴です。
これから2回にわたって「漢方の総合感冒薬」をふたつご紹介します。
漢方の総合感冒薬
風邪の原因 ①外邪の侵入
中医学では、外からの邪気が入ることが風邪の一番の原因と考えられています。一般的に、風寒・風熱の風邪が多く、これから秋冬の季節にはぞくぞくと悪寒を感じる、風寒の風邪が増えてきます。風寒の風邪は、悪寒、発熱、発汗はせず、頭痛や肩こり、節々の痛みなどを伴うことが多いです。そのような風寒の風邪にも使える「柴葛解肌湯」を見ていきたいと思います。

柴葛解肌湯(さいかつげきとう)
熱性急性疾患で、熱の症状があれば「柴葛解肌湯」がおすすめです。風邪の初期に使われる葛根湯に、風邪がこじれた時の小柴胡湯、のどの腫れをとる桔梗石膏を足した処方で「漢方の総合感冒薬」といわれています。大変多岐にわたる効能効果(体力中等度以上で、激しい感冒様症状を示す次の症状:発熱、悪寒、頭痛、四肢の痛み、全身倦怠感、のどの渇き、食欲不振、はきけ、鼻腔乾燥、不眠)を持つのもそのためです。
症状の進行が早く、処方の選定が難しい風邪にも早く対応できるため、インフルエンザなどの急性疾患によく使用されました。大正7年に流行したスペイン風邪の治療に使われたのでも有名です。と書きましたが、必ずしも激しい風邪でなくても「柴葛解肌湯」は使えることが多く、応用範囲も広いです。昨今では新型コロナウイルスにも有効との論文が出されました。
熱っぽくなってきた、ゾクゾクと悪寒がしてきた時に、早めに「柴葛解肌湯」を服用すれば、なだらかに熱が下がります。熱が下がってからは「参蘇飲」を体調が良くなったと思うまでしっかり飲むと、長引かないですっきりと治ることが多いです。
次回は、漢方の総合感冒薬の2つ目「参蘇飲(じんそいん)」について見ていきたいと思います。
漢方の総合感冒薬②「参蘇飲」